【システム英単語の使い方】僕が実践した「覚えようとしない」勉強法とレベル別攻略法
こんにちは!独学受験ラボです。
いよいよ大学受験単語帳の王道、『システム英単語(5訂版)』に取り組むあなたへ。
「Basicと何が違うの?」 「どうやって使えば、一番効率的に覚えられる?」 「難しいって聞くけど、自分はどこまでやればいいんだろう?」
多くの受験生が抱えるそんな疑問に、僕自身の独学の経験から、具体的にお答えしていきます。
この記事では、僕が実践した「覚えようとしない」勉強法の応用編と、あなたの志望校に合わせた「章別」完全攻略法を徹底解説します。
▼ この参考書ルートの位置付け
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なぜ多くの独学受験生が、最終的に『システム英単語』を選ぶのか?

僕が『シス単Basic』の次にこの一冊を選んだ理由
僕がこの参考書を選んだ理由は、非常にシンプルです。それは、『システム英単語Basic』を使っていたので、その“本編”であるこの一冊に進むのが、最も自然でスムーズなステップアップだったからです。
同じ構成、同じ思想で作られているため、迷うことなく学習を継続することができました。
【あわせて読みたい】
▼そもそも『シス単Basic』から始めるべきか迷っている君へ
「今の自分のレベルで、いきなりこの『システム英単語』から始めていいか不安…」という人もいるかもしれません。僕が実践した『シス単Basic』の使い方や、どんな人がBasicから始めるべきかの診断は、こちらの記事で詳しく解説しています。
特徴①:入試問題を科学する「頻出度順」の単語配列
この単語帳の最大の特徴は、ただアルファベット順に単語が並んでいるのではない、という点です。
最新の大学入試問題を徹底的に分析し、「本当に出る」頻度が高い順に単語が配列されています。つまり、やればやるだけ、効率的に得点力に直結するよう設計されているのです。
特徴②:記憶に定着させるための最強ツール「ミニマル・フレーズ」
『シス単』シリーズの代名詞とも言えるのが、この「ミニマル・フレーズ」です。
全ての単語が「一番使われる、一番短いフレーズ」で掲載されているため、単語が実際の文でどう使われるのかが分かり、記憶に圧倒的に定着しやすくなります。
【僕が実践】暗記嫌いのための「覚えようとしない」シス単勉強法の応用編
大原則:「書いて覚える」は非効率。僕がやらなかった勉強法
まず、僕が絶対にやらなかった勉強法、それは「英単語をノートに何度も書いて覚える」ことです。これは時間がかかる上に、自己満足で終わってしまいがちです。
効率を最優先する独学受験生には、おすすめしません。
基本サイクル:「1週間で300単語、1日3回通読」を繰り返すだけ
僕が実践した「覚えようとしない」勉強法の具体的なサイクルは、驚くほどシンプルです。これを、僕は「反復リーディング・サイクル」と呼んでいます。
STEP1:準備と心構え
まず、1週間の目標を設定します。僕の場合は「1週間で300単語」(例:シス単の1番から300番まで)と決めました。
ここでの最も重要な心構えは、「完璧に覚えようとしない」ことです。 これから行うのは「勉強」や「暗記」ではありません。お気に入りの雑誌を読むように、あるいはスマホでSNSを眺めるように、「ただ、繰り返し目に入れる」という意識で取り組んでください。
この心理的なハードルの低さが、継続の秘訣です。
STEP2:具体的な1日のルーティン
決めた範囲の300単語を、1日の中で3回、タイミングを分けて読み通します。
【僕の1日の具体例】
- 1回目:朝(約15分) 通学中の電車の中で、今日やるべき範囲(300単語)の見出し語とミニマル・フレーズを、最初から最後まで通して読みます。知らない単語があっても、絶対に立ち止まらないでください。とにかく、最後まで目を通すことが目的です。
- 2回目:昼(約10分) 昼休み、お弁当を食べ終わった後の10分間を使います。朝よりもペースを上げて、同じ範囲をもう一度読みます。この頃になると、「あ、この単語、朝も見たな」という単語がいくつか出てくるはずです。
- 3回目:夜(約15分) 寝る前に、その日最後の通読をします。この時は、余裕があれば付属の音声を聞きながら、目で単語を追うのも非常に効果的です。文字と音を結びつけることで、記憶への定着率がさらに高まります。
STEP3:1週間の流れと次のステップ
この「1日3回通読」を、月曜日から日曜日まで、毎日欠かさず繰り返します。
すると、どうなるか。 週末にその300単語を改めて見てみると、一度も「覚えよう」としなかったにも関わらず、7〜8割の単語の意味が、なんとなく頭に浮かぶようになっているはずです。これが、脳が「何度も見る情報は、重要な情報だ」と判断し、無意識のうちに記憶してくれる効果です。
そして、覚えられなかった残りの2〜3割の単語はどうするか?
気にせず、次の週は、次の範囲(301番から600番)に進んでください。 なぜなら、覚えられなかった単語も復習をしたり、長文や他の参考書で何度も再会したりするうちに、自然と覚えていくからです。
完璧主義にならず、とにかく前に進み続けることが、この勉強法では何よりも重要です。
実際、この高速回転で単語を覚える方法は、東大や医学部に合格した多くの人が、口を揃えて『最も効率的だった』と語る方法でもあります。
【応用編のコツ】派生語や語法もセットで、ぼんやりと目に入れる
Basicと違うのは、各単語に派生語や語法の情報が追加されている点です。しかし、これも気負う必要はありません。メインの見出し語を読むついでに、これらの追加情報も「ぼんやりと」目に入れることを繰り返すのです。何度も目に触れることで、脳が勝手に情報の関連性を記憶してくれます。
【レベル別】あなたはどこまでやるべき?シス単の「章別」完全攻略法
多くの受験生が悩む「どこまで覚えたらいいの?」という疑問に、具体的な大学レベルを提示して答えます。
1章&2章:共通テスト・日東駒専・地方国公立レベルの必須単語
ここまでを完璧にすることが、ほとんどの受験生にとっての最初のゴールです。日本の大学受験で必要な単語の大部分は、この2つの章でカバーできると言っても過言ではありません。
3章:MARCH・関関同立・上位国公立を目指すなら、ここまでが必達ライン
難関私大や、二次試験で英語の配点が高い国公立を目指すなら、3章の単語は絶対に落とせません。ここをやり切れるかどうかが、合否を分ける一つのボーダーラインになります。
4章:ここまでやれば敵はいない。早慶以上を目指すならやっておきたい、最難関レベルの語彙
早稲田・慶應といった最難関私大や、旧帝を目指す受験生は、この4章まで完璧に仕上げましょう。ここまでやれば、語彙力で他の受験生に負けることはまずありません。
5章(多義語):長文読解で差がつく、最重要チャプター
軽視されがちですが、この多義語の章こそ、あなたの長文読解力を一段階引き上げてくれる最重要チャプターです。一つの単語が文脈によって意味を変えることを学ぶのは、単語を多角的に捉える訓練であり、精読の力に直結します。
この章は全受験生がやるべきです。
【補足】『ターゲット1900』や『鉄壁』、『速読英単語』との比較
『ターゲット1900』との比較:正直、好み。僕はミニマルフレーズが決め手だった
正直なところ、『ターゲット1900』との間に、機能的な差はほとんどありません。どちらも素晴らしい単語帳です。
最終的には好みで選んで良いと思いますが、僕の場合は、文脈で覚えられるミニマルフレーズが肌に合ったので『シス単』を選びました。
『鉄壁』との比較:語源学習が好きな人向け。2冊目としてはアリ
『鉄壁』は、語源から単語を理解していく、非常に優れた参考書です。しかし、難易度が高く、ボリュームも膨大なので、多くの人が挫折する「諸刃の剣」でもあります。
【僕の体験談】 実は僕も、一橋大学を目指していたので、2冊目の単語帳として『鉄壁』を使いました。 しかし、これはあくまで『シス単』を完璧にした上での話です。 僕からのアドバイスは、早慶や旧帝大といった最難関レベルを目指すのでない限り、まずは『システム英単語』1冊を完璧にすることに全集中すべき、ということです。中途半端に2冊に手を出すのが、一番危険な選択です。
『速読英単語』との比較:1冊目にはシス単、2冊目以降に速単がおすすめ
受験生からよく比較されるもう一つの有名な単語帳が、『速読英単語』です。これも素晴らしい参考書ですが、『シス単』とはコンセプトが全く異なります。
- システム英単語: 「単語→フレーズ」の順番。まず単語の意味を覚え、短い文脈で使い方を確認する。語彙のインプット効率を最優先した設計。
- 速読英単語: 「長文→単語」の順番。まず長文を読み、その中で出てきた単語を学習する。長文読解と単語学習を同時に行う設計。
僕の結論から言うと、大学受験の「1冊目」の単語帳としては、僕は『システム英単語』を強く推奨します。
なぜなら、英語初心者の段階でいきなり『速読英単語』の長文に挑んでも、そもそも文法力や解釈力が足りず、長文が読めずに挫折してしまう可能性が高いからです。「知らない単語」と「読めない構文」の二重苦に陥ってしまい、勉強のモチベーションを維持するのが難しくなります。
『速読英単語』は、ある程度の単語力と読解力がついた「2冊目以降」や、多読用の教材として使うことで、その真価を発揮する素晴らしい参考書です。
よくある質問(Q&A)
音声ダウンロードは絶対に使った方がいいですか?
A. はい、強くおすすめします。 僕も通学中などのスキマ時間に、ひたすら音声を聞き流していました。それだけでも、リスニング対策や記憶の定着に大きな効果があります。
1冊を終えるのに、どれくらいの期間がかかりましたか?
A. 僕のやり方で、約3ヶ月~4ヵ月でした。 ただし、3ヶ月で終わり、ではありません。一度覚えた単語も、触れなければ忘れてしまいます。入試本番の日まで、毎日必ず見続けることが重要です。
カード版を使うメリットはありますか?
A. メリットはありますが、僕の「通読」勉強法との相性はあまり良くありません。 カードをめくる手間が発生し、高速で周回するのには不向きだからです。
まとめ:『システム英単語』を相棒に、語彙力でライバルを圧倒しよう
『システム英単語』は、ただの単語帳ではありません。 それは、あなたの志望校合格への最短ルートを示してくれる、最強の「戦略書」です。
この一冊を信じ、ボロボロになるまで使い込んだ時、あなたは他のライバルを圧倒する、盤石な「語彙力」という武器を手にしているはずです。
応援しています!
【英語学習の全体像はこちら】
▼偏差値50から70まで駆け上がった、僕の英語勉強法の全て
今回紹介した『システム英単語』は、僕の英語学習戦略の中でも、語彙力の核となる重要なパーツでした。
単語、文法、解釈、長文、過去問まで、僕が偏差値50から70まで駆け上がった英語の勉強法の全体像は、こちらの記事で全て公開しています。